2025年6月21日・22日の2日間、「サイバー防衛シンポジウム熱海2025」が開催され、当社もゴールドスポンサーとして参加しておりました。
サイバー防衛シンポジウム熱海 公式サイト
https://www.5th-battlefield.com/

当記事では、「サイバー防衛シンポジウム熱海」への参加を検討されている方に向けて、その概要をご紹介します。

「サイバー防衛シンポジウム熱海」とは
「サイバー防衛シンポジウム熱海」は、2019年から始まったサイバーセキュリティに関するシンポジウムで、サイバー空間における防衛と国家安全保障をテーマとしていることが特色です。スペシャリストによる講演や参加者同士の交流の場を通じて、専門的な議論が活発に行われています。
2025年は「能動的サイバー防御」が注目を集めており、多くの講演でこのキーワードが取り上げられていました。
なお、このシンポジウムは、自由闊達な講演・議論を目的として、撮影・録画、資料共有等が禁止となっています。
このため、本記事で詳細な内容をご紹介することはできませんが、どの講演も非常に濃密で、ここでしか聞けない貴重な情報ばかりでした。

講演の概要と感想
いくつかの講演について、公開されている範囲での概要と、個人の感想をご紹介します。
基調講演「ウクライナ戦争におけるハイブリッド戦争の新たな展開」
旧ソ連圏の政治研究で著名な廣瀬陽子氏による講演です。
長期化するロシア・ウクライナ戦争において、ロシアがどのような戦略を採用し、それが現在までどのように変化しているかを、最新の知見に基づいて解説されていました。
ロシアのハイブリッド戦争(従来の軍事力行使と、それ以外の手法を組み合わせた行動)については、廣瀬氏の著書「ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略」で詳しく解説されています。この「それ以外の手法」には、サイバー攻撃はもちろん、インターネットを使った世論の誘導やフェイクニュースの拡散も含まれます。これらの行為は、軍事力行使よりも低コストで有効なため、今後もロシアに限らず広く利用される可能性が高いと言われています。
対処の難しい問題ですが、現状としてはまず、そういった行為が行われているということを広く周知し、認識を深めることが重要だと感じました。
ナイトセッション「サイバー攻撃の”ドクトリン”を考える」
最前線の脅威アナリストでありサイバー安全保障の第一人者、佐々木勇人氏によるセッションです。
APTアクターに対応する上での戦略・基本方針・作戦・戦術の重要性や、防御側としてどのような状態を勝利と定義すべきかといったテーマが議論されました。
相手がAPTである場合、個々の攻撃への対処はもちろん重要であるものの、より長期的な視点での政治的な勝利が必要であるというお話が印象的でした。
そのためにも、能動的サイバー防御をベースとした官民連携・情報共有が重要なポイントになるということが理解できました。
その他の講演
上記の他にも、能動的サイバー防御関連法の成立背景や世論の変化、そして今後有効性を持たせていくための課題など、非常に勉強になる講演が多数ありました。
最後に
日々のセキュリティ対応においては、攻撃者の種類に関わらず、堅牢な防御を構築し、万一侵入を許した場合に適切に対処することが重要です。
これは常に変わらない原則ですが、少し視点を変えて、自分たちが防御している攻撃を、戦略を持った組織による行動の一部として捉えてみると、新たな発見があるかもしれません。(もちろんそうでない攻撃のほうが多いのですが)
安全保障という言葉に馴染みが薄い方も、異なる視点を得る機会として、次回の参加を検討してみてはいかがでしょうか。
余談
今回、十数年振りに熱海を訪れたのですが、昔の寂れた印象とはすっかり変わっていて驚きました。昭和レトロな町並みの中におしゃれなスイーツショップやカフェレストランがたくさんあって、とても賑わっていました!
海と山と温泉と、濃厚なセキュリティ議論を楽しめる熱海で、次回もぜひ皆様とお会いできることを楽しみにしております。
